巧みな情報伝達方法
ある講義のテキストの最後が,こんな一ページで締めくくられていました.
この教科は45点以上取れば合格します.(A)
ところで,このページの下半分に書かれていることは嘘です.(B)
このページの上半分に書かれていることはすべて嘘です.(C)
さっきの議論に似ていますね.生徒にとって最も欲しい情報(A)という文章が論理的に真なのか偽なのか,がうまく煙に巻かれています.
この問題を考えたとき,例えば(A)が本当だと仮定したとき,(C)が偽なので(B)が真です.これで上記の文章全体を真にできます.
逆に(A)が偽だと仮定してみると,議論は省略しますが同様に上記の文章全体を真にできます.
結局,上の文章はほとんど情報を持っていないのです.(たぶん)
…
ここでちょっと立ち止まるのです.
学生的には(A)の文章が本当であって欲しいのです.(45点で合格できて欲しいくらい難関だから)
「なぜ先生はこんな意味のないページを最後に挿入したんだろう…??」
神にもすがりたい学生に考えられる可能性はただ一つです.
「他学校に示しがつかないのでそんなこと大っぴらに言えないが,こうやって論理的に意味のない形で迷える学生にメッセージを託したんだ…」
そう,論理的に意味がないので,例えば文部科学省に「こんなことテキストに書いたらダメじゃないか!」って教授が怒られても
「いえ,これは全く意味のないページですから.」
と逃げる事が出来るのです!(すごい!) しかし「この教科は45点以上取れば合格します.」という文が本当であって欲しい学生にとっては十分有益な情報になりうるのです.
すなわち,この形の情報伝達方法は「信じたい人間がより一層信じたくなる文章」「信じたい人間にとってのみ真実となる文章」なのです.
どういうことかというと,論理的思考ができる学生がその教科に合格したいという気持ちが強ければ強いほど,その学生にとって(A)の文章が本当であって欲しい,いや,むしろそれが本当にしか見えなくなる.絶対に45点で合格できるとしか思えなくなってくるスーパーセンテンスなのです.(たぶん)
感動です.大学教授ってすごいっす.
僕はこのスーパーセンテンスを応用して,夏休みスペシャル的な提案を,この日記を読んでいるスプーキーな君たちに捧げることにしました!